脱兎の夢日記。

脱兎の夢日記。

夢と現実の日記。

☾⋆| 罪

私の親友は容姿端麗、成績優秀で素晴らしい子なんだけど、ちょっと変わっているところがある。

1つ目は趣味が変装という点。
さすがに普段は己の姿でいるが、人の真似をするのが楽しいらしく、ふざけて私の変装をすることもある。
それがすごく上手なんだけど、せっかく元が美人なのに何のために他人の真似なんか…という気持ちになるが、人の趣味に口出しするのもどうかと思うので黙っている。

2つ目はスキンシップが激しい点。
すぐに手を繋ぐ、腕を組む、抱きつく。
最近ではキスまでしてくるようになった。
海外育ちじゃないんだから…という気持ちになるが、本人に悪気はないのはわかるので、なんとなく許容している。

地味で大人しい私には友人が少なく、そんな私となぜか常に一緒にいてくれる彼女とは、クラスのみんなから2人1組のような扱いとなっている。


だが、最近は他クラスに新しい友人も出来た。
ビッチという噂があって、少し浮いている子なんだけど、私は噂は気にしない性質なので、気にせず仲良くしている。
私と親友の間に彼女が混ざってくることも増えた。


ある日のこと、私たちは授業で視聴覚室に集められ、暗くした部屋の中でとある映像をみせられていた。
正直眠くてあまり内容は覚えていない。
退屈な映像だった。

映像が終わり、部屋が明るくなると、隣に座っていたはずの親友がいなくなっていることに気づいた。
どこに行ってしまったんだろう。
そう思いつつ、人の流れに紛れて視聴覚室から出ようとすると、突然悲鳴が聞こえてきた。

「人が刺されてる!!!」

視聴覚室の前の廊下には人が血を流して倒れていた。
それは最近出来た私の新しい友人だった。
誰がこんな酷いことを……。

胸騒ぎがした。
私の親友は、今どこにいるのだろう。


この事件はあっという間に学校中に広まった。
学校内では常に犯人探しが行われている。
緊迫感といくらかの好奇心が漂う校舎の中、私はかなり追い詰められていた。

刺された友人は最後に私の姿を見たと言うのだ。
だが、私は間違いなく、友人が刺された時間帯には視聴覚室の中にいた。
それ以外に事件について何か覚えてることがあるかと問えば「ショックで何も覚えていない」の一点張りである。

そして、もう1つ気になることがある。
私の親友は、あの日から学校に来ていない。


──気づいていても気づかないでいたいことがある。

例えば、親友が私に抱く感情が友情から恋慕に変わりつつあること。
人目を気にせず誰かに見せつけるかのように過剰に行われるスキンシップと、その合間にこっそり行われるキスに含まれる熱い温度。

例えば、本当かどうかわからない噂のせいで浮いている友人がどうしようもない寂しさを抱えていること。
自分のクラスに馴染めず、他クラスの私に縋る余裕の無さ。
私と親友のキスに目敏く気づいた時の裏切られたかのような顔。


気づいていても気づかないふりをしていた。
一方的に求められるのは、気持ちがいいから。

そういう私のわがままが、今回のこの事件を引き起こしてしまったと、自覚するのが怖い。
それでも私は全てを明かすことで、2人と新たにやり直すことが出来るのだろうか。